T字路の一つ前の信号渡るか問題
はじめに
こんにちは。
突然ですが、通勤中にこんな道があります。
ある日、①の横断歩道を渡っている時に、ふと思いました。
「これ、①が渡れるか否かにかかわらず、渡らない方が得なんじゃないか?」
①を渡らない場合、もし②が赤だったとしても、③を渡れるので損はありません。
さらに、渡らない場合は渡る場合より②、③に着くのが早いため、
①を渡らなかった人が②を渡っている間に②が赤になり、①を渡った人が②を渡れなくなる場合、すなわち、①を渡らなかった人が②を渡れて、①を渡った人が②を渡れない場合
があると考えました。
そのため、「①は渡らない方が得である」と仮説立てたのです。
今回は、それを検証して行こうと思います。
なお、数学をやらなくなって久しいので、途中でガバ数学を展開することがあるかと思いますが、暖かい目で流していただくと幸いです。
問題設定
今回検証する舞台を図形化するとこうなります。
①を渡らなかった人をA、渡った人をBとします。
歩く速さを[m/s]、横断歩道の長さを[m]とします。
なお、今回は簡単のため、横断歩道の長さはすべて等しくします。
信号の点灯の間隔もすべて同じとし、青になっている時間を]、一方の信号が赤になってからもう一方の信号が青になるまでのインターバルの時間を、]とします。
そのため、②青→②赤→③青→③赤→②青→…となるとき、→→→→→…となります。
また、②が青になってから、再度②が青になる、1サイクルの時間を]とすると、となります。
以上の条件下で、AとBを比較します。
状況を場合分けし、比較には、その状況が起こる確率と、その際発生する距離の差をかけた期待値を用います。
検証
まず、①から②、③までの行程について考えます。
AはBよりも、横断歩道の長さ分、すなわち[m]だけ②、③に近い位置にいます。
よって、Aの方が、②、③に[s]早く着くことになります。
下図はそのときの状況です。
このとき、信号がどうなっているかで場合分けをします。
信号の1サイクルの間に、以下の4つの状況が考えられます。
(i)②が青()
(ii)②が青から赤になり、かつ、③が青になっていない()
(iii)③が青()
(iv)③が青から赤になり、かつ、②が青になっていない()
それぞれについて、期待値を考えます。
が、簡単なものからやっていきます。
(ii)②が青から赤になり、かつ、③が青になっていない()
このとき、Aは、③が青になってから、それを渡ることができます。
しかし、Bは、②が青になるのを待つしかありません。
よって、それぞれの距離の差は0となり、期待値も0となります。
(iii)でも同様のことが言えます。
※Aは②が青になる前に③を渡り切れるものとします。
(iv)③が青から赤になり、かつ、②が青になっていない()
このとき、Aは②が青になるのを待たなければなりません。
< であり、かつ、(iv)になった直後にT字路についたとすると、②が青になる前にBが追いついてしまいます。
よって、この場合、最大で[m]の距離の差が生まれます。
この状況が起こる確率はなので、期待値はとなります。
※Aの損として、期待値をマイナスにした。
(i)②が青()
このとき、最初に説明した、「Aが②を渡れて、Bが②を渡れない場合」が発生する可能性があります。
まず、上記が発生しないときを考えます。
このとき、AもBも②を遅滞なく渡れるので、距離の差は0となり、期待値も0です。
次に、上記が発生するときを考えます。
AはT字路に[s]早く着くので、上記の状況は、②が赤になる[s]前までの間に、Aが②に着く場合だと言えます。
よって、この状況が起こる確率はです。
また、距離の差については、Bは再度②が青になるまで進むことができません。
Aはその間進むことができるので、距離の差は最大でとなります。
したがって、期待値はとなります。
それぞれの場合について、期待値を求めることができました。
期待値を合計すると、
となりました。
これは、Aの方が[m]得である、ということを表します。
したがって、「①が渡れる場合であっても、渡らない方が[m]得である」という結果を得ることができました。
おわりに
今回、出勤中に疑問に思ったことを、実際に計算してみました。
その結果、仮説が正しいだろうということがわかりました。
計算ガバがあるかもしれませんが、まあ大体Aの方が得でしょう。
損になることはないかと思います、多分…。
皆さんもこのような道に出会ったときは、最初の信号を渡らないようにしてはいかがでしょうか。