情報系学生が公務員行政職を目指した話
はじめに
こんにちは。
就活がやっと終わったので、その記事を書きます。
ネタバレですが、ちゃんと内定をもらっているのでご安心ください。
友達に向けた近況報告のつもりで書いていますが、もしかしたら将来の公務員志望の目に留まるかもなので、アドバイス的なことも少し書くつもりです。
ただ、今年度の就活はコロナの影響が大きく、例年とかなり日程が異なりますので悪しからず。
基本情報
国公立大学の情報工学系の学科に所属している、学部4年です。
学力は、GPAが平均のちょい上くらいだったので、そのくらいだと思ってください。
大学では弓道部とゲーム制作サークルに入っています。
趣味は、弓道、音楽鑑賞、楽器(ギター、ドラム)、カラオケ、イラスト制作など。
情報系学科なので、憲法や法律については授業で全くやっていませんでした。
なので、大学生協がやってる公務員講座を受けました。
28万円くらいかかって、半分は自分で、もう半分は親に出してもらいました。
公務員講座は大体週4、平日の18時から21時までで、6月から翌年の3月までありました。
長期休暇中ももちろんあった(長期休暇中は4時間半)のでキツかったです。
公務員試験とは
僕の友達は公務員について知らない人がほとんどだと思うので、簡単に説明しておきます。
公務員になるのに、特別な資格は必要ありません。
各省庁や県庁などに採用されると、自動的に公務員になります。
ただし、採用試験が通常の就活と異なり、一次試験に筆記、二次試験以降に独自の試験(面接、グループワークなど)があります。
それらを一般的に"公務員試験"と呼ぶわけです。
一次試験の筆記について説明します。
筆記試験では、各機関独自の問題が用意されますが、出題範囲は大体同じです。
大体6割がボーダーだと言われています。
大きく分けて、教養試験、専門試験、その他(小論文など)があります。
教養試験はその名の通り、教養を測る試験です。
その中の半分弱が、数的処理と呼ばれる問題で、残り半分がいろんな教科の基礎的な問題と、文章から内容を理解する問題となっています。
数的処理の問題は、例えばこんなのです。
A〜Eの5人は学内スポーツ大会に参加しようとしている。
種目は、テニス、野球、サッカー、陸上、水泳の5種目であり、各人とも2種目に出場する。
また、各種目は、A〜Eのうち二人が出場するが、種目ごとに組み合わせは異なっている。
A〜Eの出場種目について、以下のことがわかっているとき、確実に言えるのはどれか。
A 野球と陸上には出場しない。また、Eとは同じ種目に出場しない。
B テニスか野球のいずれかに出場する。水泳には出場しない。
C サッカーに出場する。
D テニスに出場する。野球かサッカーのいずれかに出場する。
E サッカーには出場しないが、陸上には出場する。
- Aは水泳に出場する。
- Bはテニスに出場する。
- Cは陸上に出場する。
- DはEと同じ種目に出場する。
- EはCと同じ種目に出場する。
こんな感じの、論理、推理力を測るパズルのような問題です。(ちなみに正解は5)
まあわかると思いますが、理系の点の稼ぎどころです。
専門試験は、志望する業種によって異なります。
そもそもですが、公務員にもいろいろあって、 例えば情報系の公務員も存在し、その専門試験では数学や物理の問題が出ます。
ただし、あくまで僕は行政職、すなわち事務系を志望していたので、専門試験では憲法や民法、行政法、経済などの問題を解くことになります。
例えばこんなの。
日本国憲法に規定する法の下の平等に関する記述として、最高裁判所の判例に照らして、妥当なのはどれか。
- 旧所得税法が必要経費の控除について事業所得者と給与所得者との間に設けた区別は、所得の性質の違い等を理由としており、その立法目的は正当なものであるが、当該立法において採用された給与所得に係る必要経費につき実額控除を排し、代わりに概算控除の制度を設けた区別の態様は著しく不合理であることが明らかなため、憲法に違反して無効であるとした。
- 尊属の殺害は、通常の殺人に比して一般に高度の社会的道義的非難を受けて然るべきであるため、法律上、系の加重要件とする規定を設けることは、直ちに合理的な根拠を欠くものとすることはできないが、尊属殺の法定刑について死刑または無期懲役刑のみに限っている点は、その立法目的達成のため必要な限度を遥かに超え、普通殺に関する法定刑に比し著しく不合理な差別的取り扱いをするものと認められ、憲法に違反して無効であるとした。
- …
こんな感じで、これも5択です。(正解は2)
わかると思いますが、理系にはキツイです。
ただ、経済に関しては計算問題も多いです。(正解は2)
効用を最大化する、ある消費者を考える。この消費者は、所得の全てをX財とY財の購入に当てており、効用関数は以下のように示される。
u=xy
この消費者の所得は120であり、当初、X財の価格は3、Y財の価格は15であったとする。
今、Y財の価格は変わらず、X財の価格のみが12に上昇したとすると、価格の変化前の効用水準を実現するのに必要な最低所得はいくらか。
- 200
- 240
- 280
- 320
- 360
その他に関して。
これは各機関であったり無かったりします。
例えば、裁判所の試験では、憲法に関する記述試験があります。
「外国人の基本的人権」について述べよ。
このほかにも、「少子高齢化社会にどのように立ち向かっていくか」など、実際の課題とそれに対する解決策を書かせるような問題も多いです。
筆記試験
日程
ここからは実際の試験への対策と、試験結果を書いていきます。
が、その前に、今年度の日程について補足しておきます。
通常公務員試験は4月終わりの国家総合職試験から始まり、都庁や特別区、裁判所、国家専門職、国家一般職と続いて行きます。
県庁や市役所などは比較的遅く、7月くらいからになります。
しかし今年度はコロナの影響で試験日が延期になり、7月の県庁が一番最初となりました。
主要な機関の順番を書いておくと、
- 国家総合職、県庁
- 大学職員
- 都庁、特別区
- 国家専門職
- 裁判所、国家一般職
と、こんな感じでした。(赤が受けたやつ、あと市役所いくつか)
実は試験日の延期以外の影響もあって、国家総合職と県庁、裁判所と国家一般職は本来試験日は被らないのですが、延期によって試験日が被りました。
公務員は試験の併願が普通(基本いくつ受けても良い)なので、受けられる機関が減ったことで不安になった人も多いと思います。
また、試験日被りによって受験者が分散しました。
僕が受けた裁判所の試験では、80人くらい入れる部屋に10人しかいませんでした。
対策
筆記試験の対策ですが、まずは先述の公務員講座です。
基本休まず参加しました。
ただ、本格的に自習をするようになったのは3月くらいからで、それまではほぼ講座を聞くだけでした。
模試も何回かありましたが、勉強していなかったので受ける意味を感じず、あまり参加しませんでした。
3月ごろから本格的に勉強を始めました。
講座でもらった問題集や過去問をひたすらやりました。
と言ってもなかなか熱が入らず、勉強時間を一日平均にすると2、3時間程度だったと思います。
はっきり言いますが、少ないです。
試験日が延期になっていなかったら、受かっていなかったと思います。
正直試験日が延期になってくれて助かりました。
結果
結論から言うと、受験した機関全て受かりました。
「なんで?」と思うかもしれませんが、僕もそう思います。
県庁の試験ではやってない範囲の問題を解くはめになったし、裁判所に至っては試験日当日に憲法の記述があることを知りました。
単純に運が良かった、と言うこともできますが、一応受かった理由を考えてみました。
- 県庁は例年と違い一番最初の試験でした。
よって、例年より合格者を増やしたと思われます。 - 裁判所は先述の通り、受験者の大半が国家一般職を受験したため、倍率が下がりました。
- とにかく教養試験が得意で、そこで点を稼ぎました。
教養試験しかない大学職員に合格したので、実力もあったと思います。
他にも理由は考えられますが、ざっとこんなところだと思います。
あ、参考程度に特別区と裁判所の自己採点結果を書いておきますね。
裁判所教養:31/40
裁判所専門:19/30
やっぱり教養は点取れてますね。
特別区の専門は解いている最中に「これ爆死だわ」と思っていたし、結果も半分切ってます。
その分教養はほぼ9割なので、そこでうまくカバーできた、という感じですね。
6割ボーダーと言われている試験なので、このくらい取れれば十分でしょう。
僕は勉強のコスパがかなり良かった、ということですかね。
アドバイスですが、理系はとにかく教養と経済を頑張ってください。
理系なら数的処理は得意でしょうし、数的以外の問題も難しくないはずです。
専門試験では、経済の計算問題で確実に点を取れるようにしましょう。
※4/13追記
大体の機関で、記述の試験は一次通過には関係ないらしいです。知りませんでした。
面接
大学職員についての補足
ここからは面接試験についてですが、その前に大学職員試験の補足です。
大学職員の一次試験に合格すると、関東圏で募集している機関をいくつも受けられるようになります。
例えば僕は東大、千葉大、筑波大など7機間受けました。
めちゃくちゃお得…かと言われるとそうでもなく、倍率がめっちゃ高いです。
全部落ちることも少なくないと思います。(僕は全部落ちました)
対策
僕が受けていた公務員講座では、頻繁に面接対策を開催していました。
講座自体も「面接練習は最低でも4回」と言っていて、面接練習の大切さを説いていました。
かく言う僕ですが、個人面接1回、集団面接0回、集団討論1回、グループワーク1回でした。
はい、少ないです。
なんでこんなに少ないかと言うと、単純に面接が嫌いだからです。
本当に行きたくありませんでした。
こんなんなので、面接前はひたすらイメトレをしました。
元々考えるのが好きなので、自己分析は楽しかったです。
結果
ほぼ受かりませんでした。
インガオホーです。
と言ってもですよ、面接の大半は先ほど言った大学機関のものです。
倍率がクソ高いので落ちてもしょうがない…はずです。
まあ、面接受けた人の2/3が受かった県庁に落ちたので、普通に面接が下手だったと思います。
数だけで言うと、面接を受けたのは11機関で、面接回数は14回でした。
アドバイスは色々あります。
僕を反面教師にしてください。
まず、面接練習はちゃんとやりましょう。
「本番の数こなせば慣れる」と思うかもしれませんが、本番の面接では何が良かったか、何が悪かったかは教えてもらえません。
本番をやるだけでは成長できないんです。
面接カードは第三者にチェックしてもらいましょう。
講座に通っているならそのスタッフの人が一番ですが、別に友達や親でも良いです。
僕はしてもらいませんでした。
その結果誤字もいくつかやらかし、学歴の欄には「〇〇高校」とずっと書いていました。(本来は「〇〇立〇〇高等学校」)
身嗜みを整えましょう。
髪の毛ボサボサだったのは会場で僕くらいです。
面接カードの原稿はパソコンで作りましょう。
誤字が減ります。
面接カードはコピーして控えをとっておきましょう。
面接は待ち時間が結構あり、手持ち無沙汰になる人が多いです。
面接カードの控えをとっておけば、その時間にイメトレができます。
ここからは面接の内容についてです。
面接では、面接カードに書いたこと:面接カードに関連したこと:関連してないことの比が、体感2:7.5:0.5くらいでした。
面接カードから、どのような質問に発展するか、予め考えておきましょう。
理系出身だと「理系なのになんで?」と聞かれるので、答えられるようにしましょう。
また、"理系出身であるからこその強み"を言えると良いと思います。
志望理由に「ワークライフバランスがいいから」とは書かないほうがいいです。
結構突っ込まれます。
僕は「志望理由にワークライフバランスとありますが、あなたにとって仕事とは?人生とは?」と、哲学的なことまで聞かれました。
まあ、答えられるようであれば書いてもいいと思います。
話が少し変わります。
ある機関の面接で、僕は面接が1日2回だったのに対し、別の人は3回だったことがあります。
わかると思いますが、この時点で不合格だと思って良いです。
ご丁寧に「結果は後日」と言われますが、もう結果はわかっているので切り替えましょう。
面接においてメンタル管理は非常に大事です。
面接に落ちていちいち後悔していたら、心がいくつあっても持ちません。
「どれだけ面接が上手い人でも、いくつか落ちる」と言う言葉もあるくらいです。
落ちてもあまり気にしないようにしましょう。
僕は「この俺を落とすなんて、見る目のないクソ面接官だ」と思うことで平常心を保っていました。
このくらいで良いと思います。
最後に、ひたすら面接を愚痴る記事を以前書きました。
まだ内定がない頃書いた記事です。
よければそちらもご覧ください。
最後に
はい、というわけで近況報告でした。
あ、まだ最終結果を言っていませんでしたね。
この記事を書いている時点で、ある市役所から内定をいただいています。
月末にもう一つの機関の最終結果発表があり、それを待ってから就職先を決めようと思っています。
本当はまだ終わっていない面接もあるのですが(特別区など)、もう良いやって感じです。
就活は本当に疲れました。
肉体的にもですが、何より精神的な疲労がすごいです。
特に僕は、同期の中で進路が決まるのが一番遅かったので。
遅すぎて、親にも「フリーターになったときのことも考えときな」と言われた時は流石に堪えました。
でもなんとか内定が出て良かったです。本当に。
あとは大学卒業までゆっくりしたい…のが本音ですが、卒研が残っています。
なぜか後期から週1で簡単な進捗報告をすることになったので、やばいです。
ちょっとした旅行にでも行きたいのですが…。
最後にちょっとしたアドバイスを。
就職を希望している人の中には「私はまだ志望先が決まってない…」と、焦っている方もいるかと思います。
ですが、そんなに焦らなくて大丈夫だと思います。
僕もなんとなく「公務員になりたいなぁ」と思って勉強を始めました。
それから、就活中に説明会に行ったり、自己分析をすることで、「自分はこういう人間で、こういう仕事が合っているかも」となってきます。
そうして初めて第一志望が決まってくるものだと思います。
それに、内定をもらってから、再度ゆっくり考えられます。
なので、最初から志望先をカッチリ決める必要はないです。
ただし、判断材料が多いに越したことはないので、興味が少しでもあれば説明会には行きましょう。
はい、ではこの辺で終わりたいと思います。
では、さようなら。