ガバガバ音楽理論

アドカレについて

この記事は、僕が所属しているサークル、CCSのアドベントカレンダーに参加したものです。 

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昨日はくにだいがマイクラのやべーやつを紹介してくれました。

note.com

 

 

自炊講座

今回は最恐の卵かけご飯のレシピを紹介します!!!!!!

用意するものは

  • ご飯
  • 焼肉のタレ

以上だ!!!!!!!!!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はじめに

こんにちは、やまむーです。
今回は前々からやりたかった、俺的音楽理論講座をやります。
音楽理論を知らない人でもわかるようにしたいな…(願望)
完全主観であり、ほとんど根拠もない(調べてない)ので、ガバガバですがご容赦ください。
言うて音楽理論はカジってるので、当たらずとも遠からずだと思います。

 

補足:

記事中にこのように補足をいくつか設けています。
この補足では、本編より専門的な話をしています。
というかむしろこっちが本編です。
少し難しい話になるので、最初は補足は読み飛ばしてしまっても構いません。
ただし、補足を読むと音楽の奥深さがよりわかるかと思います。

 

 

良い音楽とは

まず、僕が思う良い音楽の構成要素について話します。
良い音楽は、"テンプレ"と"裏切り"で出来ている、と思っています。
この記事では、この2つを取り上げて書いていきます。

 

 

テンプレについて

テンプレとは

まず、要素の一つ目、"テンプレ"について。
テンプレとはまさに定型文、「今こう来たから、次はこう来るやろ」って感じのものです。
曲の根幹、雛形となっている部分ですね。
大きく"歴史的なテンプレ"、"曲ごとのテンプレ"の2つに分けて説明しようと思います。

 

歴史的なテンプレ

まずこちら。
この章では、今までの歴史の中でテンプレ化してきたものを紹介していきます。
皆さんにも、自覚があるかないかに関わらず、このテンプレが染み付いているはずです。

 

音階

音階とは、ドレミファソラシドのことです。
ああそう、と思ったそこの君!ちょっと待ってくれ!!
ピアノを想像してみて下さい。
ピアノには12個の鍵盤がありますよね?

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対して、ドレミファソラシドは7種類しかないじゃないですか。
(白い鍵盤がドレミファソラシドです。)
では、この7種類はどうやって決まったんでしょう。

 

答えは簡単です。
それが一番心地いい音だから、です。
↓ドレミファソラシド

もう少し詳しく説明すると、「ドを基準としたときに、一番心地いい音」です。
ということは、ドを基準とする曲を作ろうとするとき、この7種類の音を使うのが一番相応しい、ということになります。
すなわち、7種類の音さえあれば、曲が作れるということです!
ただし、"ド"の中にも、高い音、低い音がありますので、実際に使う音はもっとあります。

 

さて、ここで単純な疑問が。
ホントにドレミファソラシドだけで曲が作れるんか???
では、めちゃくちゃ身近な例を挙げます。
↓『チューリップ』です。

以下は『チューリップ』の音程です。

ドレミ ドレミ ソミレドレミレ
ドレミ ドレミ ソミレドレミド
ソソミソララソ ミミレレド

 あれ、ファとシが使われてませんが…まあいいや。
このように、7種類の音だけで、基本的に曲は作れてしまうんです。
つまり、使われる音にテンプレが存在する、ということになります。
ドを基準とした曲では、ドレミファソラシドがテンプレとなりますね。

 

 

補足1:"ドを基準にする"とは

散々文中で"ドを基準にする"と書きましたが、これはドを一番下の音とする、ということです。
ドレミファソラシドではドが一番下でしょ?
これと同じように、別にどの音を基準にしてもいいんです。
例えば、レを基準にすると、"レミファ#ソラシド#レ"で一周です。
↓レミファ♯ソラシド♯レ

聞いてもらうとわかると思いますが、聞いた感じがドレミの場合と同じですよね。
鍵盤を見てみると、ド→レ→ミ、レ→ミ→ファ♯では音がそれぞれ+2、+2されています。
調べれば分かりますが、これは他の音程でも同じです。
この事実から、音程は相対的であると言えます。
音の世界は数学的に見ても面白いので、興味があったら調べてみて下さいね。

ちなみにドを基準とした場合でも、他にもテンプレ音階があります。
一例としては、"ドレミ♭ファソラ♭シ♭ド"です。

こっちは暗い感じがしますね。

 

補足2:"ファ"と"シ"について

『チューリップ』では、ファとシが使われていませんでした。
実はこの2つは、使われやすい7種類の中でも使われにくい2種類なんです。
ドに対してファとシはそれぞれ4番目、7番目なので、これらを抜いた音階を"ヨナ抜き音階"と言います。

 

 

コード進行

続いてはコード進行の話です。
いや、コード進行ってなんやねん!!ってなると思うので、簡単に説明します。
まずコードとは、和音のことです。
和音は基本的に3つ以上の音を同時に鳴らすとできます。
↓ドミソ

んで、コード進行とは、コードの流れのことです。
コードを繰り返すことによって、曲の流れ、展開ができます。
↓お辞儀のやつ

ちなみに、このコードも基本的にさっき話したドレミファソラシドのみで構成されます。

 

さて、このコード進行にもテンプレがございまして。
曲中でよく使われるコード進行があるんです。
例えば以下のコード進行。

これはかの有名な『カノン』で使われていることから、"カノン進行"と呼ばれています。
代表曲としては、あいみょんの『マリーゴールド』などがあります。
↓『マリーゴールド

他にも、J-POPでよく使われる"王道進行"というものもあります。

名前からして、よく使われていることがわかりますね。
代表曲は、スピッツの『ロビンソン』などです。
『ロビンソン』↓

 

例に挙げた2曲は、全人類聞いたことあるだろと思って選曲しました。
もし知らない場合も、知っている曲の中に上の2つのコード進行は必ず使われている、と言い切ってしまってもいいくらい、この2つは使われています。
調べてみて下さいね。

 

 

他にもテンプレになっているコード進行はたくさんあります。
その中でも、「ツーファイブワン」はわかりやすいと思います。
とりあえず聞いてみて下さい。↓

最後のコードに終着した感じがいいですよね。
この「最後の音へ落ち着く」という進行は、曲の中でよ〜く使われます。

 

 

補足3:カノン進行の良さ

カノン進行に使われている和音の一番下の音を聞いてみて下さい。

1音ずつ下がっているのがわかるでしょうか。
この音の滑らかな下降が、聞いている人たちに落ち着きを与え、心地よく聞こえる、という分析ができます。

 

補足4:ツーファイブワンの良さ

どうしてツーファイブワンは最後の音へ落ち着く感じがするのでしょうか。
これは、前の和音たちの働きが強いのです。
例で用いたコード進行は"Dm7→G7→C"というコード進行でした。
この進行の2番目、G7が3番目、Cに"行きたがる"和音なんです。
まず、G7とCの一番下の音、ソとドに強い結びつきがあります。↓

さらに、G7のソ"以外"の音は不安定であり、Cのドとミに行こうとします。↓

すなわち、G7はCに行くためのコードと言えます。
さらにDm7→G7にも同じ効果が働きます。
したがって、"Dm7→G7→C"のコード進行はよく聞こえるわけです。

ちなみに、再生されたコード進行は厳密には"Dm7→G7→C"ではありません。
例えばG7は本来低い順にソ・シ・レ・ファですが、再生されたのはファ・ソ・シ・レです。
構成音は変わっていませんが、音の順番が違いますね。
なぜかというと、音の動きを少なくすることで、コード間を滑らかに繋ぐためです。
本来の"Dm7→G7→C"↓

このようなコードの変更を"転回形"と言い、"G7/□"や"G7 on □"と表記します。

 

補足5:曲のキー

コード進行で例に挙げた2曲、原曲とキーが違うのに気づいたでしょうか。
例えば『マリーゴールド』はキーを-2しました。
この記事では基準をドに揃えたかったので、もともとレを基準とした『マリーゴールド』の音全てを2つ下げました。(キーを-2するとはこう言うこと)
キー操作からも、音が相対的であることがよくわかりますね。
今後出てくる曲も全て、基準をドに揃えてあります。

 

 

曲ごとのテンプレ

続いて説明するのは、曲ごとに作られるテンプレです。
曲ごとにテンプレがどのように作られるのか、その答えは"繰り返し"です。

 

構成による繰り返し

一番最初に思いつくのがこれです。
要は、Aメロ→Bメロ→サビ→Aメロ→Bメロ→サビ→…の流れです。
ほとんどの曲は1番と2番があり、そのどちらもほぼ同じメロディ、リズムが繰り返されますよね。
これによって、曲を印象付けているのです。
もし1番と2番で全然違う曲になってたら、その曲のメロディをあんまり覚えられないですよね。

 

曲というのは第一印象がとても重要です。
絵なんかと違って、音楽は1作品を鑑賞するのに曲の長さ分の時間がかかります。
それに、気になるところがあっても、巻き戻すかもう一度1から再生するしかありません。
しかし、1回目の視聴で興味を持たれなければ、そもそももう一度聞かれることもないんですよね。
そんなわけで、一発で曲を覚えてもらう、興味を持ってもらうために、繰り返しによって印象付けているわけですね。

 

 

リズムの繰り返し

繰り返しは1番、2番などの章単位で行われるものだけではありません。
AメロならAメロ、サビならサビの中でも繰り返しが行われます。
例えば超有名曲、Official髭男dismの『Pretender』のサビを見てみましょう。

君の運命の人は僕じゃない
テテテ テテテ テーテテーテテテテー

辛いけど否めない でも離れ難いのさ
テーテテーテテテテー テテーテテーテテテテーテテー

赤い部分が同じリズムになっていますね
この区間だけで同じリズムが3回も繰り返されていました。
特に3回目の赤部分は、それまでと音程は違いますが、リズムは一緒です。
さらに先程の章で言った通り、サビ自体も曲中で何回も繰り返されるため、同じリズムもその分倍増していきます。
『Pretender』では、上記のサビの部分が5回あるので、赤部分は15回登場することになります。
これによって、視聴者に無意識のうちにこのリズムの虜にさせるわけですね。

なお、この手法は特にサビでよく用いられます。
サビの部分を一番覚えてほしいからですね。

 

 

 

裏切りについて

裏切りとは

さて、前の章までで曲のテンプレ、すなわち基本を見てきました。
ここからはそれらをどんどん裏切っていきます。
テンプレを基本、基礎、土台とするならば、ここから話す要素は曲ごとの個性、アクセントになっていきます。

 

音階の裏切り

さっきドを基準にした音階では、ドレミファソラシドだけで曲が作れる、と言いました。
では、全ての曲がその7種類だけで作られているかというと……
そんなわけねえだろ!!!
はい、ドレミファソラシドだけで曲は作れますが、それだけだとありきたりな、童謡のような曲になってしまいます。(もちろんそういう曲もありますが)
と言っても、前に「ドを基準としたときに、一番心地いい音」がドレミファソラシドだと言ったことからわかるように、それ以外は心地よくない音になるわけです。
そんな音をたくさん使ってしまうと、訳のわからん曲になってしまいます。
そのため、使い所が非常に重要となります。
(ここからはドレミファソラシドを主音階、それ以外を補助音階と呼びます。)

 

メロディ

まず、メロディでの使われ方について。
先程言ったように、補助音階はたくさん使うと曲がめちゃくちゃになります。
そのため、サビのここぞ!といったところなどに使われます。
そうすることで、良いアクセントの働きをしてくれます。
例を挙げましょう。aikoの『カブトムシ』です。↓

 少し背の高い あなたの耳に寄せたおでこ

 サビの前半での一番高い音に使われています。(ソ♯)
「あ、ここ補助音階だ」と思いながら聴く人はいないにしても、なんとなく少しふわっとするような、浮遊感的な印象を受けないでしょうか。
次の例は、先程も使った『Pretender』です。↓

君の運命の人は僕じゃない。
辛いけど否めない でもがたいのさ 

 赤字の部分がシ♭になっています。
『Pretender』の場合、それまでの部分とリズムは同じですが、最後の離れ難いところだけ音程が違い、さらに補助音階も使われています。
音程の面で、テンプレかと思わせておいてから裏切っているわけです。
そこに補助音階も使うことで、さらに強調効果がでます。
補助音階を使わないバージョンも聞いてみましょう。↓

2つを聴き比べてみて下さい。
上の方が、なんかクセになってしまう感じがありませんか?
そう感じてしまったならば、あなたはすでに作曲者の罠にかかっています。

 

以上の例のように、ここぞというときにわざとテンプレから外れた音程を用いることで、曲にアクセントが加わります。
これによって、「なんだかよくわからないけど、何故かクセになってしまう」サビができるわけですね。

 

 

コード進行

音階での裏切りはコード進行の中でも起こります。
補助音階をコードの中に取り入れる、と言うことですね。
ではいきなり例に入ります。このコード進行を聞いてみて下さい。↓

これは主音階のみで構成されたコード進行です。
では次、上のコード進行を1音だけいじったものを聞いて下さい。↓

ん?どこかで聞いたことあるような…?でも違うような……??
と思ったあなた、なかなか鋭い耳をお持ちですね。
ではさらにいろいろいじったものを聞いてから答え合わせです。↓

 

 

あ、これ!King Gnuの『白日』の最初や!!
と言うわけで、『白日』の一番最初のコード進行を聞いていただきました。

さて、説明に入ります。
一番最初のコード進行の構成音はこうです。

ド・ミ・ソ
シ・レ・ファ・ラ
ミ・ソ・シ・レ
ラ・ド・ミ・ソ 

2つ目のコード進行は、このうち3つ目のコードを以下のように変えました。

 ミ・ソ♯・シ・レ

ソを半音上げてソ♯とすることで、補助音階を用いています。
つまり『白日』は初っ端からテンプレを裏切ってきてるわけですね。

 

次の例行ってみましょう。
まず、このコードを聞いてもらいます。↓

うえ、なにこれ…。
不快というか、不協和音って感じですね。
構成音はド・レ♯・ファ♯・ラで、4つ中2つが補助音階となっています。
さて、ここで紹介するということは、これが曲中で使われているということです。
こんなの使えんの…?と思うかもしれませんが、使えるんです。↓

2つ目に来たコードが上のコードと全く同じものです(!?)。
単体で聞いた時は気持ち悪かったですが、コード進行の中に組み込まれるとそれほど気にならなくなりましたね。

同じようなコードがまだあります。これです。↓

構成音はファ♯・ソ♯・ド・ミです、えぇ…。
これも単体で聞くと気持ち悪いですが、コード進行にするとどうでしょう。↓

う〜ん…まだちょっと分かりづらいですね…。
それでは実際に使われている曲を聞いてみましょう。
オーイシマサヨシの『ようこそジャパリパークへ』です。↓

!!めちゃくちゃ良い!!
みなさんどこでさっきのコードが使われたか分かりましたか?
ジャパリパーク今日も」の部分が例のコード進行です。
単体であんなに気持ち悪かったコードが、コード進行の中に溶け込んで良い味を出しています!!

 

以上の2つがなぜコード進行に溶け込んだのか。
それはコードとコードの架け橋になったからです。
例えば、1つ目の例の音の推移を見てみましょう。

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図の見方ですが、横軸が時間、縦軸が音の高さです。
(上から降ってくるわけではありませんよ、音ゲーマーのみなさん。)
コードが左から3つあり、2つ目が例のコードです。

観察してみると、一番低い音が前のコードの一番低い音と一致しています。
同様に一番高い音は次のコードの一番高い音と同じです。
そして残りの2音、1つ目のコードから順に、半音ずつ下がっているのがわかるでしょうか。
視覚的にも、前と次のコードを滑らかにつなぐ働きがあることがわかりますね。

このように、単体で聞くと不快なコードが、コードとコードの間に入ることで逆に耳に馴染むという、面白い現象が起こるわけですね。
もちろんこの使い方はほんの一例に過ぎません。
これらをサビの一発目に持ってくるとかいう変態曲もあります。(『灼熱スイッチ』)

 

補足6:『白日』のコード進行について

コード進行の話の前半、『白日』に使われていたコード進行では、ソ♯を使っていました。
これは適当にそうしているわけではなく、ちゃんと理由があります。
コード進行は"C→Bm7-5→E7→Am7"でしたが、このうち"Bm7-5→E7→Am7"がツーファイブワンになっているんです。
??ツーファイブワンって"Dm7→G7→C"じゃなかったっけ??
はい、これもツーファイブワンです。
が、"Dm7→G7→C"は"ドを基準としたときの"それなんです。
では"Bm7-5→E7→Am7"はというと、これは"ラを基準としたときの"ものになります。
つまり、『白日』のコード進行では、自分の基準とは違う基準からツーファイブワンを借りてきた、ということになります。
ツーファイブワンはテンプレの章で、収まりが良いコード進行として紹介しました。
たとえ基準が違っても、その収まりの良さは衰えないため、心地いい違和感のもとで補助音階を使うことができたのです。

ちなみにこんな図があります。

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これは五度圏と言います。
どういうふうにできているかというと、ドから7半音上がった音がソ、ソから7半音上がった音がレ、…というふうになっています。
以前"ソとドに強い結びつきがある"と言ったのを覚えているでしょうか(ツーファイブワンのところ)。
このドとソの間隔が7半音なわけです。
同様にソと間隔が7半音なのがレ、というふうに続けていくと、図のように一周します。
数学的に言うと、7n-6 \mod 12ですね。
んで、なんでこんな図を用意したかというと、この図を左回りするとツーファイブワンができるからです。
"Dm7→G7→C"はツーファイブワンでしたよね。
探してみると…レ→ソ→ドの下にD→G→Cとありますね。
同じように"Bm7-5→E7→Am7"は、シ→ミ→ラに対応しています。
このように、ツーファイブワンには音同士の強い結びつきがあるのです。

 

補足7:dimとaug

コード進行の話の後半で取り上げたコードはそれぞれ、"ディミニッシュコード"、"オーギュメントコード"と言います。
これらは単体で聞くと不快に感じたコードですよね。
ちょっとコードの構成音の関係を見てみましょう。

まず、ディミニッシュコードの構成音はド・レ♯・ファ♯・ラでした。
これらを五度圏で探し、線で結んでみて下さい。

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…正方形になりましたね。
続いてオーギュメントコード、ファ♯・ソ♯・ド・ミのうちソ♯・ド・ミを探すと…
今度は正三角形になっています。
これらは偶然なのでしょうか…。

まあ種明かしは簡単で、これらの音が等間隔(3半音、4半音)になっているからです。
逆にドミソとかだと汚い形、すなわち等間隔ではありません。
等間隔の方が汚く聞こえるというのはなんだか不思議ですね。

あ、それと『灼熱スイッチ』で気づいた方もいるかもしれませんが、例に出したオーギュメントコードはいわゆる"イキスギコード"です。

 

 

転調

今まで音階の話をするときは、基準をドにしていました。
転調とは、曲中でその基準を変えることを意味します。
基準を変えてしまうってものすごい裏切りですよね。

転調にもいろいろありますが、まずは一番簡単なものから。
ラストのサビでのキー上げです。
この転調は非常に多くの曲で使われている、いわば"裏切り界のテンプレ"です。
例を挙げるとキリがないですが、superflyの『愛を込めて花束を』やポルノグラフィティの『サウダージ』が有名でしょうか。
一番盛り上がるラスサビでキーを上げることで音が高くなり、視聴者のボルテージを最高潮にします。
さらに、あくまで基準を変えただけでその他は変わっていないため、サビの繰り返しも同時に行われています。
つまり、繰り返しと裏切りを一度にやってしまうものすごい技法だと言えますね。

 

転調には他にも種類があります。
例えば先ほどとは逆の、キーを下げる転調。
これは主にラスサビ前のサビで起こります。
ラスサビ前に音を低くし一旦落ち着かせることで、ラスサビを映えさせる効果があります。
例としてはYOASOBIの『夜に駆ける』、アイカツ!の『カレンダーガール』などがあります。
ちなみに『夜に駆ける』はラスサビ前にキーを下げた後、ラスサビで更にキーを上げています。末恐ろしい…。

 

あとはざっくりですが、一見転調したかわからない転調もあります。
これは例えばBメロ→サビ、サビ→Cメロなど、構成が変わるタイミングでよく行われます。
転調したかわからないのにやる意味あんの?と思うかもしれません。
ですが、基準を変えることで場面をはっきりさせる効果があります。
これによって曲の展開を形作っていくわけですね。
例を挙げていきます。

  • 米津玄師『Lemon』:サビ→Cメロ
  • 米津玄師『感電』:サビ→Cメロ
  • King Gnu『白日』:サビ→Cメロ
  • 嵐『Love so sweet』:Bメロ→サビ
  • Mr.Children『終わりなき旅』:Bメロ→サビ、サビ→Cメロ等
  • れるりり『脳漿炸裂ガール』:Bメロ→サビ
  • bump of chickenAcacia』:Bメロ→サビ
  • 藤井風『何なんw』:Aメロ→Bメロ→サビ

パッとこんな感じでしょうか。
もしかしたら「え、この曲転調してたの?」って思う曲があったかもしれませんね。

最後の曲を知らない人が多数だと思いますが、この方は今僕がめっちゃハマってる人です。
先日日本武道館ライブを成功させた、正真正銘次に来るアーティストです。
聞いてくれ〜〜〜〜〜〜

 

音階以外の裏切り

今まで散々音階の話をしてきました。
正直ここまででかなり疲れちゃったので、ここからはだいぶ適当にやります。
まあ裏切りは音階だけじゃないよって話です、ハイ。

突然静かになる

これよく使われますよね。
急に曲が止まるので「おっとっと」ってなると思います。
一旦止まることで調子を整えたり、次に来る展開を強調できたりできます。
いろいろ効果があって良い手法だと思います。
例は米津玄師『ゴーゴー幽霊船』のAメロ、one ok rock『完全感覚ドリーマー』のラスサビ前など。
YOASOBIの『夜に駆ける』もサビ前に一瞬静かになりますよね。

 

拍子を変える

4拍子とか3拍子など聞いたことあると思います。
リズムのことですね。
4拍子の曲はトントントントン、3拍子はトントントンのリズムです。
この拍子を曲中に変えちゃう曲もあります。すごい。
僕が知ってるのはUNISON SQUARE GARDEN『Phantom Joke』、ボカロの『天ノ弱』くらいでした。

これとは違いますが、変拍子なるものもあります。
字の如く変な拍子ということです。
例えばミッションインポッシブルのテーマ(?)やperfumeの『ポリリズム』があります。

 

曲の構成

普通の曲はAメロ→Bメロ→サビ→Aメロ…→Cメロ→ラスサビの流れだと思います。
ここを工夫することで個性を出す曲もありますね。
これもテンプレをぶち破ってるので裏切りと言えると思います。
例えばLiSAの『紅蓮華』の構成は

Bメロ→Aメロ→Bメロ→サビ→Aメロ→Aメロ(?)→サビ→Cメロ→ラスサビ

ですよね。
初っ端Bメロな曲って他に全然ないと思います。
他にも、AメロからすぐBメロに行かなかったり(アイカツ!『オリジナルスター』2番)、ラスサビの後にBメロが来たり(ツミキ『ヒウマノイドヒウマニズム』)などもあります。こいつらだいすし。

 

 

終わりに

いや〜ここまで長かったですね、お疲れ様でした。
音楽大好きなので、書き始めたら止まらなくなってしまいました。
お付き合いいただきありがとうございました。
まあこれでもまだ語り足りないんですけどね。

書いた内容、わかっていただけましたかね…??
音楽理論なんも知らん人もわかるように書いたつもりですが、どこから説明すればいいかわからず、説明自体も難しいのでかなり大変でした。
補足もかなり多い、というか半分くらい補足になってしまいましたね…。
それでも音楽の奥深さ、面白さが伝わっていたらこれを書いた意味があります。
自分が好きな曲やヒット曲を、この記事を思い出しながら聞いてみて下さい。
そして何故自分がこの曲を好きなのか、何故この曲が世間に評価されているのかを考えてみて下さい。

きっと今までより音楽を楽しめると思います。

 

さて、この記事では"テンプレ"と"裏切り"という項目で音楽を分析してきました。
ここまで読んできて、個性を出さないといけないんだからいっぱい裏切っとけばいんじゃね?と思うかもしれません。
ですが、テンプレが無いとそもそも裏切りは成立しないんです。
今まで積み上げてきたものがあってこその裏切りなのです。
ですのでどちらも大事なわけですね。
しっかりとした土台があり、その上に人の目を引くような個性があってこそ、良い音楽は良い音楽たり得るのです。
この点は他の芸術やスポーツ、研究なんかも同じですね。
今まで作られてきたものを観察し、なぜそれが評価されるのか、評価されないのかを考察し、それらを知識としてたくさん溜め込み、それらを組み合わせ、または除き、新規性と進歩性のある自作品を作っていくのです。
人間はそうやって文化を発展させてきたと僕は思っています。

 

はい、すいません。まとめも長くなってしまいましたね。
それではこれで終わります。さようなら。